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アッパー層への対応方法

2021/09/07

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少しだけ内容をぼやかして書く部分もあります。実在の会社名は出せませんし、具体的な場所も明かせません。
今回のコラムはあるアッパークラスの方(Aさん)を取材したことについて書いていきます。
1億円の土地を購入したり、1億円の注文住宅を購入するような方は明らかに一般の人たちとは違いますよね。生活レベルや交友関係などが違うので、持っているものや行動パターンもハイレベルになります。
不動産営業、住宅営業に関わらずこのレベルのお客さんは何としてでも捕まえたいのが本音。そうならば、営業マンがそのレベルに合わせるのは当然でしょう。
私も積水ハウス時代には様々なお客さんを相手にしましたが、たしかにアッパー層は何かが違いました。接客し始めて「この人お金持ちかな?」とあたりをつけると接客内容を変えていました。

■「土地建物で2億円を少し超えたくらいかな~」


ヨーロッパに本社がある日本法人の社長であるAさん。それまで10年以上にわたりご夫婦でヨーロッパを転々としていたとのことで、帰国して社長に就任するのを機に土地を買って家を建てました。
年収は"たくさん"としておきますが、土地建物合わせて2億円以上の物件を購入。土地を不動産業者から購入し建物はハウスメーカー、工務店、一級建築士事務所の3社を同時に検討し。結果として都内の一級建築士事務所と請負契約を結びました。

■「不動産の若い営業マンが良かったんだよ!」


・不動産営業マンをべた褒めした理由・・・1
紹介された土地を気に入ったことがもちろん前提となっていますが、不動産の担当者をAさんはやたらと褒めちぎります。
「彼は自信をもって言い切るんだよね」
これは営業マンにとって大事なポイント。紹介した土地に関してお客さんはなんだかんだとケチをつけるもの。一般的な分譲地において「ゴミステーションが角にあるのはちょっと嫌だね」という類ですが、これに対して全く動じずに対応できるかどうかが大事なのです。
・不動産営業マンをべた褒めした理由・・・2
「周辺環境を熟知しているんだよ」
1億円もする土地を買う人です。普段は高級車に乗って都心に買い物に出かけるスタイルかと思いきや、奥さんは古き良き商店街などが大好き。
そんなことを察知してか知らずか、営業マンは土地の近隣にある2つの商店街を調べつくした結果を資料として机に広げました。
どんなお店があるのかは当然ですが、自分でスマホを片手に録画した動画を見せたのです。
「この店のご主人はテレビにもよく出る人でユニークな方らしいんですよ。で、この魚屋さんは種類が豊富みたいですね」
ざっとこんな感じで紹介。2つの商店街についてビデオで紹介した後には様々な観点から見た周辺生活環境を教えてくれたそうです。
・治安
 自ら警察署に行ってホームページには掲載されていない話を聞いて、空き巣などの犯罪数まで調べていました。
・夜間
 昼は良いのですが、夜に真っ暗な場所を通るのは誰でも嫌なものです。Aさんには女子大に通うお嬢さんがいるので心配なのは当たり前のこと。そのことを見越してか。実際に夜間歩いて撮影したビデオを流しながら、駅から明るいところだけを通って帰るルートがあることを説明したそうです。
・銀行
今は24時間コンビニで事足りるのですが、銀王や郵便局などの金融機関の場所なども調べてまとめていました。
このほかにも大型スーパーや病院などの情報もテンコ盛りで提示されたそうですが、そのプレゼンテーションを気に入り土地購入をその場で決断したとのことでした。

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■「一級建築士の先生はレベルが違った!」


土地が決まれば次は建物。友人に紹介されたハウスメーカーに最初は行ったらしいのですが、どうにもこうにも話が面白くない。間取りにも夢がなく提案もそっけないもの。
工務店に足を運んでみたものの、プラン提示には至らず。「あまりこの人と長く話をしたい気になれなかった」と奥さん。
ところがある一級建築士の事務所で出会った先生が素晴らしく、初回面談でお任せすることを決めました。
・一級建築士をべた褒めした理由・・・1
「ワインに詳しかったので話が弾んだんだ」
ヨーロッパの生活では、日本人はもちろんですが、ヨーロッパの知人を家に招いてはパーティーをする機会も多かったAさん。
その時の話のながれでワインのことが出ると、ワインブランドのことは当然ですが温度管理についても一定の見識を持ち合わせていたことで、随分と感心したそうです。
また、背の高いワイングラスを食洗器で洗うには、ある程度の大きさがないと不便。そんな会話に差し掛かったところで「やはり食洗器はミーレですよね」とドイツのメーカー名がポンと出てきました。
Miele(ミーレ)と表記しますが、これは1899年創業のドイツのメーカーです。ヨーロッパではBMWなどと同格のブランド力があるのですが、ヨーロッパ在任時もミーレを愛用していたAさんにとっては、この単語が当たり前のように出てくる先生にすぐ信頼感を寄せました。
余談ですが、このミーレの特徴は音が小さいこととワイングラスなど背の高いものでも洗えることにあります。この2点をAさんご夫婦は気に入っていたのです。
・一級建築士をべた褒めした理由・・・2
「イエスマンではなくダメなものはダメと言ってくれたね」
これて大事ですよね。お客さんの希望をただ聞いているだけの御用聞きスタイルは、このようなアッパー層には受けないと思います。
受注する側としては、お金持ちの気分を害してはいけないと思うかもしれませんが、それは全くの逆効果。
社会の上層部で活躍している方だからこそ、そんな御用聞きのような営業マンとは話をしたくないのです。
もちろん居丈高にふるまえというのではありません。しっかりした応対をしながらも、家に関しては自分がプロなわけですから、お客さんの要望を聞いた家で「これはおかしい。こちらにした方がよい」とはっきり伝えるのです。

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■アッパー層と話を対等にできるように目を凝らして接客を


・私が契約をしたあるお金持ち

積水ハウス時代の経験談を話しましょう。
いつものように展示場で勤務をしていた日曜日。50歳前後のご夫婦が来店されました。生活ぶりの良さがすぐにわかりましたが、私が目に止めたのは奥さんの帽子でした。
皇族方を思い描いてください。女性の皇族は必ず帽子をかぶっていますよね。しかも、何と説明したらよいのか難しいですが、日よけ帽子ではなく明らかに社交界の匂いがする帽子です。
この時の奥さんがまさにこれ。「こんな帽子をかぶって展示場に来る人は初めて見たな」と思いながら接客を開始。
しばらくして1階のウォーキングクローゼットに入ったところでした会話がこれ。

 私 「奥さんはたくさんお帽子をお持ちだと思いますが、収納にお困りではないですか?」
奥さん「そうなんですよ。帽子は重ねてしまうわけにはいかないので、思った以上に場所を取るんですよ」
この会話の瞬間に私は「この人はアッパークラスの可能性が高い」
と踏みました。
〇皇族のような帽子を被っての来場
〇たくさん帽子を持っている
〇帽子を重ねて保管していない
〇夫婦からにじみ出る余裕の生活感
帽子をたくさん持っているのに、その帽子を重ねて保管していないのです。一般的には考えられないとすぐに気づきました。
この方とは契約になりましたが、都内に一戸建てを所有しているうえで別荘を建てたのです。あとで奥さんにお聞きしたのですが「帽子の話をすぐにしたのは森さんだけでしたよ」とこと。

アッパー層との折衝や接客にはコツがあります。私自身の経験もまだまだありますし、コンサルティング先の営業マンからも様々な事例を聞いています。
機会があればまた書きますが、とにかくアッパー層と一般のお客さんとでは接客内容とトークが必ず違うことを頭に入れましょう。

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